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ホームページ制作の契約書チェックリスト13項目|著作権・ドメイン所有権・保守範囲で後悔しない確認ポイント
ホームページ制作の契約書を前にして、どこを読めば良いのか分からず不安になっていないでしょうか。見積書と提案書で合意したはずなのに、契約書の文面には法律用語が並び、読み飛ばしたくなる箇所ばかりです。しかし、ホームページ制作の現場で実際にトラブルになるのは、ほぼ決まって 著作権・ドメイン所有権・保守範囲 の3点に集中します。
この記事では、熊本のホームページ制作会社 CREVIA が実務で蓄積してきた知見をもとに、契約書を交わす前に必ず目を通したい 13項目のチェックリスト を整理しました。業者選定が終わり、これから判子を押そうとしている経営者・広報担当者の方が、後悔のない形で契約を結べるよう、書面レベルで確認すべきポイントを具体的に解説します。
SECTION 01
ホームページ制作の契約書で必ず確認すべき3つの核心
ホームページ制作の契約書で最も重要なのは、著作権・ドメイン所有権・保守範囲の3点を書面で明確にすることです。
ホームページ制作を依頼する際、見積書と提案書に目を通したあと、契約書は形式的なものだと感じて細部まで読まないことがあります。ところが現場のトラブルの大半は、この「読み飛ばした数行」に原因があります。リニューアル時に素材データがもらえない、解約したらドメインも消えた、更新作業が別料金だった――こうした事例はいずれも、契約書の書き方で未然に防げるものばかりです。本記事は契約書を手元に置きながら読み進められる設計にしているので、該当条項がご自身の契約書に含まれているかを照合する形で活用してください。
著作権・ドメイン所有権・保守範囲が「3大トラブルポイント」である理由
制作会社と依頼者の意見が割れる場面は、ほぼ決まってこの3点に集中します。なぜならいずれも 「サイトを別会社で使い続けられるかどうか」 を決定する要素だからです。著作権が制作会社に残ったままだと、同じデザインを別会社に渡してリニューアルできません。ドメインが制作会社名義だと、取引終了時にURLを失うリスクがあります。保守範囲が曖昧だと、サーバー障害やセキュリティ更新の責任所在が宙に浮きます。逆に言えば、この3点を書面で明確にしておくだけで、契約トラブルの大半は回避可能です。
よくある誤解
「お金を払ってホームページを作ってもらったのだから、著作権もドメインも自分のもの」と思い込んでいる方は多くいらっしゃいますが、契約書に明記がなければ著作権は原則として制作者側に残ります。ドメインも、制作会社が代行取得した場合は名義が制作会社のままになっているケースが珍しくありません。
本記事のチェックリストの使い方(13項目の全体像)
13項目のチェックリストは、契約書の一般的な構成順に並んでいます。実際の契約書を開き、該当条項があるか、書き方が適切か、を一つずつ照合する形で使ってください。全てが完全な書面である必要はありませんが、「この項目が口頭合意ではなく書面で残っているか」を確認することで、後のトラブルを大きく減らせます。
- 1
著作権の帰属は「譲渡」か「使用許諾」か
どちらの扱いかで、将来リニューアル時に別会社へ素材を引き渡せるかどうかが変わります。
- 2
著作権法27条・28条を含む譲渡か
二次利用や翻案の権利まで譲り受けたいなら、この2条を明記する必要があります。
- 3
支給素材・フリー素材の権利処理
自社ロゴ・外部写真素材など、第三者が関わる素材の権利帰属を書面で確認します。
- 4
ドメイン名義は自社か制作会社か
ドメイン管理画面に誰の名前でログインできるかを最初に確認してください。
- 5
サーバー契約の主体と移管の可否
サーバー会社との契約名義が自社になっているか、制作会社を経由しているかで対応が変わります。
- 6
SSL証明書・DNS設定の引継ぎ方法
リニューアル時にダウンタイムを最小化するため、引継ぎ手順を事前に書面化しておきます。
- 7
納品物の範囲(デザインデータ・ソースコード・画像原本)
HTML/CSSだけでなく、デザインデータと画像原本までを納品物に含めるかを明記します。
- 8
仕様変更時の追加費用ルール
変更の単価・小さな修正の扱い・書面合意のプロセスを決めておきます。
- 9
検収期間と瑕疵担保責任の期間
2020年の民法改正で「契約不適合責任」と呼ばれるようになった領域です。期間の明記が重要です。
- 10
保守範囲(更新・バックアップ・セキュリティ対応)
含まれる作業と含まれない作業を、具体的なアクションの形で書面化します。
- 11
保守費用の内訳と値上げ条件
月額に何が含まれていて、どのような場合に追加請求が発生するかを明確にします。
- 12
中途解約条項と精算方法
進行中に解約したい場合の精算基準と、データの扱いを書面に残します。
- 13
契約終了時のデータ引渡しとドメイン移管
AuthCodeの発行・サーバーデータのエクスポート手順・費用負担者を決めておきます。
契約前に揃えておく資料(見積書・仕様書・提案書)
契約書を読み解く前に、手元に揃えておきたい資料が3つあります。見積書・仕様書(要件定義書)・提案書 です。この3つと照合することで「どこまでが金額に含まれているか」「何が納品物になるか」が具体化されます。見積書の読み方については ホームページ制作の見積書の読み方|適正価格かどうかを判断する5つのポイント で詳しく解説しています。
また、仕様書が存在しない契約はリスクが高いと感じます。「トップページとお問い合わせページを含むコーポレートサイト一式」のような一行のみで仕様が定義されている契約書は、後から「この機能は含まれていない」という議論になりやすく、追加費用の火種になりがちです。ページ数・機能・想定する閲覧環境といった要素が並んだ仕様書を、契約書の別紙として添付してもらう形が望ましいと感じます。
CONTRACT SUPPORT
契約書の13項目、一緒に確認しませんか
他社との契約書を前にして不安なとき、CREVIAでは書面の確認を含めた事前相談に対応可能です。ご要望に応じて、著作権・ドメイン・保守範囲の条項を中心にお伝えします。
SECTION 02
著作権に関するチェック項目(項目1〜3)
著作権はホームページ制作で最も見落とされやすいポイントです。デザイン・写真・ライティング・コードのすべてに著作権が発生し、誰が権利を持つかで将来の打ち手が変わります。ここでは3つの観点から書面を確認していきます。
項目1:著作権の帰属は「譲渡」か「使用許諾」か
最初に確認すべきは、著作権が 「譲渡」 されるのか 「使用許諾」 にとどまるのかです。この2つは似ているようで全く異なる扱いになります。
譲渡の場合、著作権は依頼者に移ります。リニューアル時に別会社へデザインデータを渡して改変してもらうことも、素材を紙媒体やSNSで二次利用することも自由に行えます。一方、使用許諾の場合、著作権は制作会社に残ったまま、依頼者は「このホームページとして使って良い」という権利だけを得ます。範囲外のこと、たとえばデザインを他媒体で使う、別会社に改変してもらう、といった行為は原則として許されません。どちらが良いかは契約内容次第ですが、少なくとも書面に「譲渡する」「使用を許諾する」のどちらの語が使われているかは必ず確認してください。
項目2:著作権法27条・28条を含む譲渡か
「著作権を譲渡する」と書かれていても、実は著作権法の構造上、27条(翻案権等)と28条(二次的著作物の利用権) は特別扱いされます。契約書に「全ての著作権を譲渡する」と書かれているだけでは、この2条は譲渡に含まれないと解釈される可能性が残ります。
そのため、完全な形で譲渡を受けたい場合は、契約書に以下のような条項を明示する形が望ましいと感じます。
書面の一例
「本件成果物に関する著作権(著作権法第27条および第28条に規定する権利を含む)は、検収完了後に甲(依頼者)に譲渡されるものとする。乙(制作会社)は、甲に対し著作者人格権を行使しない。」
あわせて 「著作者人格権を行使しない」 という一文も重要です。著作者人格権(氏名表示権・同一性保持権・公表権)は譲渡ができない権利ですが、不行使特約を結ぶことで、依頼者が自由にデザインを改変したり、制作者名の表示有無を決めたりできるようになります。この特約が無いと、リニューアル時に「私のデザインを勝手に変えないでください」と主張される余地を残してしまいます。
項目3:支給素材・フリー素材の権利処理
ホームページの素材には、制作会社が新規に作ったもの、依頼者から提供した支給素材、フォトストック等から調達した第三者素材の3種類が混在します。それぞれで著作権の扱いは別々になります。
支給素材については「依頼者が提供した素材の著作権は依頼者に帰属する」と明記するのが通例です。問題は第三者素材で、ストック写真やフリーイラストの多くはライセンス契約のもとで利用されており、制作会社から依頼者へ ライセンスごと譲渡することはできない ケースが多いと感じます。同じ写真を別媒体で流用したい場合は、依頼者側で改めてライセンスを取得する必要があるかもしれません。契約書で「第三者素材については別途ライセンス条件に従う」と記載があるかを確認し、素材一覧を添付してもらうと予防策になります。
原稿や文章の権利についてさらに深掘りしたい方は、ホームページ制作で成果を出すための秘訣|熊本のホームページ制作会社CREVIAがすべての原稿を書く理由 も参考にしてください。
SECTION 03
ドメイン・サーバーに関するチェック項目(項目4〜6)
著作権とならんで、契約終了後の影響が大きいのがドメインとサーバーです。ここを制作会社名義で運用してしまうと、取引が切れた瞬間にホームページが見られなくなる、メールアドレスが使えなくなる、といった事態が起こり得ます。
項目4:ドメイン名義は自社か制作会社か
ドメインは必ず依頼者(自社)名義で取得・保有することをおすすめします。 多くの制作会社はドメインの代行取得を行いますが、その際に「誰の名義で登録するか」は実は選択肢があります。請求書の処理が楽だからと、制作会社名義のままにしている案件は少なくありません。
ドメインが制作会社名義になっていると、取引終了時に以下のようなリスクが発生します。
- 制作会社がドメインの更新料を支払わず、ドメインが失効する
- ドメインの移管に AuthCode(認証コード)が必要だが、制作会社が発行してくれない
- 制作会社が廃業した場合、ドメインの所在が不明になる
対策として、契約書の中に「本件ドメインは甲(依頼者)の名義で取得・管理する」「甲の求めに応じて、制作会社は速やかに移管手続きに協力する」といった条項が含まれているかを確認してください。すでに取得済みのドメインが制作会社名義になっている場合は、契約を交わす前に自社名義へ移管する交渉を行うのが望ましい進め方です。
ドメインの選び方そのものについて理解を深めたい方は、ドメインの選び方で失敗しない|.com .jp .co.jpの違いとビジネスへの影響 も合わせてお読みください。ドメインの種類と信頼性の関係を整理しています。
項目5:サーバー契約の主体と移管の可否
サーバーも同じ構造です。自社でレンタルサーバーを契約する方式と、制作会社がまとめて管理する方式の2パターンが一般的で、後者の場合は サーバー移管の自由度 を契約書で確認しておく必要があります。
| 方式 | サーバー契約主体 | 移管時の手間 | 月額費用 |
|---|---|---|---|
| 自社契約 | 依頼者 | 自社で対応可能 | レンタルサーバー実費のみ |
| 制作会社管理 | 制作会社 | 制作会社の協力が必須 | 保守費に含まれるケース多 |
| 共用サーバー相乗り | 制作会社 | 他社と同居のため移管困難 | 安価だが自由度低い |
共用サーバーに他社サイトと相乗りしている場合、ホームページのファイルだけを切り出して別サーバーへ移管するのが難しいケースがあります。その際にどのような形で引き渡されるのか(ファイル一式の zip 形式か、データベースダンプ付きか、など)を書面で確認することが大切です。
項目6:SSL証明書・DNS設定の引継ぎ方法
SSL証明書と DNS設定は地味ですが、移管時の実作業に直結する部分です。契約終了時に情報がきちんと引き渡されないと、新しいサーバーへ移った瞬間にサイトが表示されなくなります。以下のような情報の引き渡し手順を、契約書または運用手順書に明記してもらうのが望ましい形です。
- ドメイン管理画面の ID・パスワード(あるいは権限移譲の方法)
- 現在の NSレコード・A レコード・MX レコードの設定値一覧
- SSL証明書の種類と更新タイミング
- メール設定(独自ドメインメールを使っている場合)
これらは「技術的な運用情報だから契約書に書くまでもない」と扱われがちですが、書面化されていないと、いざ移管の段階で情報を引き出すのに時間がかかります。
SECTION 04
納品物・仕様に関するチェック項目(項目7〜9)
契約書の中心となる部分です。「何を作ってもらうのか」「完成の基準は何か」「完成後に問題があった場合、どこまで修正してもらえるのか」を書面で定義していきます。
項目7:納品物の範囲(デザインデータ・ソースコード・画像原本)
納品物を可能な限り具体的にリスト化してもらうことをおすすめします。HTML・CSS・JavaScript のソースコード、Figma や Adobe XD 等のデザインデータ、写真の原本、ロゴデータの元ファイル(AI または SVG)――これらのどれが納品対象に含まれるかで将来の自由度が変わります。
特に見落とされがちなのがデザインデータです。見た目だけ納品されても、細かい修正を別会社に依頼するときデザインデータが無いと「一から作り直し」になり、コストが跳ね上がります。契約書に「デザインデータ(Figma または同等形式)を納品物に含める」と一文あるだけで予防可能です。
納品物リストの書面例
公開済みホームページ一式/ソースコード(HTML・CSS・JavaScript・画像素材)/デザインデータ(Figma 形式)/写真原本(高解像度 JPEG)/ロゴデータ(AI 形式および SVG 形式)/ドメイン移管用 AuthCode/サーバー引継ぎ資料(ID・DNS設定一覧)――これらを検収完了後30日以内に、共有ストレージ経由で引き渡すものとする。
項目8:仕様変更時の追加費用ルール
ホームページ制作は、進行途中で「この部分をこうしてほしい」「こういう機能を追加したい」という変更要望が生まれるのが自然なプロセスです。問題は、それらの変更がどの範囲まで当初の金額に含まれていて、どこから追加費用になるのかを、書面で決めていないことが多い点です。
見積書に「修正は3回まで無料、以降は1回3万円」のような記述がある場合でも、「修正」と「仕様変更」の線引き が曖昧だとトラブルになります。例えば、色を変えるのは修正ですが、ボタンの挙動を根本から変えるのは仕様変更です。この違いをあらかじめ書面で定義できていると、追加費用の交渉がスムーズに進みます。
具体的には、次の3点を契約書または見積書の別紙として定めておくのが実務的な方法です。
- 修正・仕様変更の定義(具体例つき)
- 変更依頼から見積提示までのプロセス(メール・オンライン会議・書面など)
- 変更に対する単価表または時給換算の基準
見積書段階からこの仕組みが整っている制作会社は、契約後のやりとりが整然としやすい傾向があります。
項目9:検収期間と瑕疵担保責任の期間
ホームページが完成したあと、「検収」 と呼ばれる確認期間を経て、正式に納品となります。この検収期間が何日間なのか、検収中に不具合が見つかった場合の対応はどうなるのかを、契約書で確認してください。
2020年4月の民法改正で、従来「瑕疵担保責任」と呼ばれていたものが 「契約不適合責任」 に変わりました。用語が変わっただけでなく、責任の内容も修補請求・代金減額請求・損害賠償請求・解除の4つに整理され、依頼者側の選択肢が増えた形になっています。
契約書の書き方としては、検収期間(納品後◯日以内)を定めたうえで、検収後に発見された不具合について「検収完了後◯ヶ月以内に発見された契約不適合については、制作会社が無償で修補対応する」といった形で期間を明記するのが一般的です。この期間が無い契約書は、ひとたび検収完了すると、小さなバグでも追加費用の対象になりかねないため注意が必要です。
SECTION 05
保守契約・運用に関するチェック項目(項目10〜11)
ホームページは公開後の運用でこそ成果の差が生まれます。保守契約の内容が曖昧だと、更新のたびに別料金を請求されたり、セキュリティ更新が放置されたりする事態が起こります。
項目10:保守範囲(更新・バックアップ・セキュリティ対応)
保守契約という言葉には、幅広い作業が含まれ得ます。何が含まれ、何が含まれないか を明文化してもらうのが最初のチェックポイントです。一般的には以下のような作業が対象になります。
- WordPress等 CMS本体・プラグイン・テーマのアップデート対応
- サーバー OS・PHP・データベースのバージョン更新時の動作確認
- サイトの定期バックアップ(頻度・保管期間・復元手順)
- SSL証明書の更新
- 改ざん・不正アクセスが発生した際の復旧対応
- 月次のアクセス解析レポート
- 原稿やバナーの更新作業(月に何件まで含まれるか)
これらのうち、どれが月額費用に含まれ、どれが別料金になるかは契約書で一つずつ確認してください。特に 「セキュリティ対応」「改ざん時の復旧」 は、含まれていると書かれていても、条項の中で免責事項と組み合わされていないかにも目を通す必要があります。保守費用の相場観は ホームページの保守・運用費用の相場|月額いくらかかるのか、何にお金を払っているのか で整理しているので、費用設定の妥当性判断にご活用ください。
項目11:保守費用の内訳と値上げ条件
保守費用は、月額で長く支払い続けるものです。契約時に同意した金額が、数年後に予告なく値上げされるような契約書は望ましい形ではないと考えます。以下の観点を確認してください。
- 保守費用の内訳(作業項目ごとの金額またはボリューム)
- 最低契約期間と自動更新の条件
- 値上げが発生する場合の通知期間と根拠(サーバー費値上げ連動か、一方的な改定か)
- 契約途中で保守プランを変更する際の手続き
「値上げする場合は◯ヶ月前に書面で通知し、依頼者が受け入れない場合は契約を終了できる」といった条項があると、片務的な値上げを避けられます。サブスク型ホームページ制作の落とし穴については サブスク型ホームページ制作の落とし穴|月額制リースで後悔する前に知っておくべきこと で整理しているので、月額制の契約を検討されている方は併せて読むことをおすすめします。
MAINTENANCE TRANSPARENCY
保守範囲と費用を、最初に全て開示します
CREVIAでは、熊本のホームページ制作会社として保守契約の条件を事前に全て開示する運用を行っています。現在他社と保守契約中で内容に不安がある方も、書面確認のご相談を承ります。
SECTION 06
解約・終了時のチェック項目(項目12〜13)と契約前の最終確認
サブスク型契約は解約時にサイトデータが失われる構造になっていることが多いため、契約前に納品物の権利帰属を必ず確認してください。
契約書の後半には、解約・終了時の取り決めが並びます。ここを読み飛ばしてしまうと、取引が終わった瞬間にホームページが消える、データが戻ってこない、といった事態になりかねません。最後の2項目と、契約書を見る前に済ませたい予防策をまとめます。
項目12:中途解約条項と精算方法
ホームページ制作の途中で解約したい場合、費用がどう精算されるかの取り決めが無い契約書は、解約の話になった瞬間に大きなトラブル源になります。一般的には着手金・中間金・残金のように支払いが段階に分かれ、解約時点までに発生した作業工数に応じて精算する形が多く見られます。以下のような書き方が参考になります。
中途解約条項の例
「甲または乙は、相手方に◯日前までに書面で通知することにより、本契約を中途解約できる。中途解約時、甲は解約日までに乙が完了した作業に対する工数相当額を支払うものとし、乙は当該時点までの成果物を甲に引き渡すものとする。ただし、甲の重大な契約違反による解約の場合は、この限りではない。」
ここで重要なのが 「解約日までの成果物を引き渡す」 という一文です。これが無いと、途中まで作った原稿やデザインが全て制作会社の手元に残り、依頼者は支払った金額に見合うものを何一つ受け取れない事態になりかねません。
項目13:契約終了時のデータ引渡しとドメイン移管
契約終了時のデータ引渡しは、項目12と対になる要素です。ホームページのファイル一式、データベース、画像素材、ドメインの AuthCode(認証コード)、サーバーの引継ぎ情報――これらをどの形式で、いつまでに、誰の費用負担で引き渡すかを書面で決めておきます。
特にサブスク型・月額リース型の契約では、この項目が空白のまま「契約が終わった瞬間にサイトが見えなくなる」設計になっているケースがあります。契約前に「解約時の納品物」を書面確認することをおすすめします。書面化の具体例としては以下の形が実務的です。
- 契約終了時、乙は甲に対し、ホームページのソースコード一式・データベースダンプ・デザインデータを、契約終了日から◯日以内に引き渡す
- ドメインの移管手続きに必要な AuthCode は、甲の求めに応じて速やかに発行する
- 引渡し作業に必要な実費は、別途見積により甲が負担する/または月額保守費に含まれるものとする
契約書を見る前に業者選びで揉めないための予防策
ここまで13項目を見てきましたが、最も効果的なトラブル予防は 「契約書の段階でトラブルの火種が少ない会社を選ぶこと」 です。見積書の透明性、提案書の具体性、契約書の読みやすさはある程度連動します。契約書が極端に分かりにくい会社は、運用フェーズのコミュニケーションも曖昧になりがちです。業者選びの判断基準は 熊本のホームページ制作会社の選び方|費用・対応範囲・サポートで失敗しない判断基準 で整理しています。
契約書を受け取ったあとは、判を押す前に必ず第三者の目を通す ことをおすすめします。顧問弁護士、あるいは信頼できる別の制作会社に書面を見てもらうだけで、見落としていた条項に気づくことがあります。
下請法に該当する場合の注意
依頼者の資本金が一定額を超える場合、ホームページ制作の発注には下請法(下請代金支払遅延等防止法)が適用されることがあります。下請法が適用される取引では、発注書面の交付義務・支払期日の上限などが法律で定められており、契約書の内容もこれに沿った形である必要があります。自社が発注者として下請法の対象になるかは、顧問税理士や弁護士に確認しておくと安心です。
NDA(秘密保持契約)についても、契約書に機密情報の扱いが明記されているかを確認してください。自社の内部資料・顧客情報・売上データなどを制作会社に共有する場面では、NDA または契約書内の機密保持条項が重要な防波堤になります。
SECTION 07
よくある質問
Q.ホームページ制作の契約書で一番揉めるのはどこですか?
著作権の帰属・ドメインの所有権・保守範囲の3点です。契約前にこの3点を書面で明記することで、ほとんどのトラブルを回避できます。特に著作権は「譲渡」か「使用許諾」かの違いで、将来リニューアル時の選択肢が大きく変わります。
Q.ドメインとサーバーは制作会社名義のままでも大丈夫ですか?
推奨しません。ドメインは必ず依頼者(自社)名義で取得・保有してください。制作会社名義のままだと、乗り換え時にドメインを失うリスクがあります。サーバーも、可能であれば自社契約とし、制作会社には管理権限のみを付与する形が望ましいと感じます。
Q.ホームページの著作権は誰のものになりますか?
原則として制作者側に残ります。譲渡を希望する場合は契約書に「著作権(著作権法第27条・第28条に規定する権利を含む)を譲渡する」と明記してもらう必要があります。あわせて「著作者人格権を行使しない」という不行使特約も合意しておくと、改変時の自由度が保たれます。
Q.保守契約は必ず結ばないといけませんか?
法的義務はありません。ただし WordPress 等の CMS を使う場合は、セキュリティ更新・バックアップの観点から何らかの保守体制を持つことが現実的です。自社で運用できる体制があれば保守契約を結ばない選択肢もありますが、その場合は緊急時の対応ルートを別途用意しておく必要があります。
Q.制作途中で解約したい場合、費用は全額支払う必要がありますか?
契約書の中途解約条項次第です。一般的には着手金と進捗分の精算となります。解約条項が曖昧な契約書は避けてください。「解約日までに完了した作業に対する工数相当額を支払い、成果物の引渡しを受ける」形で書面化されていると、双方の認識が揃いやすくなります。
